しんちくブルー が おいかけてくる!

 5月が終わった途端に、これだよ。ブルーだよ。物凄い勢いで動きたくなくなりました。もう電話も出たくないし、打ち合わせも行きたくない。照明のことも考えたくなければ晩御飯も作りたくないし食べたくない。生ける屍状態。そこからようやく起き上がって現在に至ると。記憶の底から嫌なことばかりが浮かび上がってきて、もう家出したい。遠くに行きたい。新築ブルーか。

 でも新築ブルーって言ったって、基本的に最初からブルーだったよね。むしろ真っ青だったよね。時々「あ、ちょっと楽しいかも」と思うくらいで、幸せの絶頂とかそんなもん無かったよね。結婚した時もそんなノリだったかな。テンション低いな。

  というか家(建物)自体に対して憂鬱に思ってるわけじゃなくて、問題なのは新生活のほう。正直に言っていいですか、双方の親と同居ってどう考えても息が詰まりますよ。じゃあなんで同居することになってるのかって、本来の意味の「絆」、「繋ぎ留める綱」じゃないかと思います。あんまり良い意味じゃないのね。逃げたくても逃げられない。切りたくても切れない。言わば足枷。肉親に向かってそういう言い方するなんて、って思う人もいるかもしれない。でも、そうじゃない人だっているんだ。だから分かってくれなくてもいいから、ほっといてほしい。現に逃げられずに、こうしているのだから。

 兄のように奔放に生きて人に散々迷惑掛けてドロンして逃げ倒すようなのがいるせいで、私は子供の頃から「いい子」というレッテルを貼られて生きてきた。典型的なアレだよね。大人になってからもよく言われたよ、私と兄が逆だったらよかったのに、って。そう、私が長男だったらって思われてる。なんか、いやだ。そういうの、きらい。

 結婚前まではこういう気持ちに全く気づかなかった。ただモヤモヤするだけで、分からなかった。だけど実家から離れて初めて「あ、そうだったのか」と理解できた。そしてもっと逃れたくなった。でも、できない。いくら「長男信仰クソクラエ」と言っていても、「老後の親の面倒は見なきゃいけない」という呪縛はどうしても解けなかった。兄が逃げ回っている以上、自分が面倒見なきゃいけないんだろうか。その気持ちはどうやっても捨てられない。捨てたくても捨てられない。

 だから一番の理想は……いや、一番の理想なんて叶うわけが無いので3番目くらいの理想はというと、2世帯とか3世帯とかじゃなくて、せめて車で10分程度の所にそれぞれが居を構えることなんだと思う。だけど経済的にそれが無理だから、こうなった。せめて何か打算的なものがあれば2世帯でも上手くやっていけるのかもしれない。あるいは心底仲が良ければみんなで生活していけるのかもしれない。無理だ。できない。でもやらないと。自分で決めたことでもあるのだから、悔いることも覚悟の上だった。

 しかし住む前からこうなるとはなぁ。想定外の要因が増えたってのもあるんだと思うよ。夫の伯母達とかな。世の中は鬱陶しいものばかり。自由になりたいけど自由ってなんだろう。ああ分からない分からない。しょうもないことで悩んで苦しんで、下らない。面倒臭い。寝る!

 

※2021年6月 加筆修正