ばーちゃんが「解体反対!」と工事の妨害をする

 疲れてます。

 開口一番それか、というくらい疲れてます。

 引き渡しの話の時にチラッと書いた、夫祖母ご乱心の話。今日はその話をしましょうか。

  夫実家は古い家と古い納屋×2で成り立っています。いずれも中は物が詰まりに詰まってます。ミッチミチのギッチギチ。特に納屋のほうはテレビに出しても恥ずかしくない、いや恥ずかしいレベルの汚屋敷。何年、いや何十年も堆積した物の山はネズミや猫の格好の住処となり、あちこちフンだらけで衛生状態は劣悪。それなのに夫伯母達は使えそうな食器が無いかと物色していました。価値観が全く違うようです。私だったらあの状況を見て、その中に使えそうな食器があったとしても使えません。とても使う気になれない。

 具体的にどんな物が詰め込まれているのかなんて、多分1万文字でも書き起こせません。というよりも誰も把握していないんだと思います。5年以上前にあった法事の仕出しの食器類が「取りに来なかったから」と番重ごと返却せずに放置されているような家です。先日片付けていた時に見つけてしまった私は意味が分からずクラクラしました。普通そんなもんあったら邪魔だから連絡して返却すると思うんですが。夫実家ルールでは違うんですよね。私が見たのは氷山の一角で、まだまだまだまだ未知の物が山ほど詰まっています。そしてそのほとんどが恐らくは二束三文。

 その二束三文の物の山の持ち主は様々だけど、夫母も夫伯母達も納屋ごと手放すことを決心しました。決心できないのが夫祖母。つまりラスボスが夫祖母。何せ認知症なので「忘却」という技を使ってきます。納屋を解体してもいいという言質を取っても、というか普通に夫祖母自身が「解体してもいい」と言っていても、翌日には忘れてしまうのです。そして振り出しに戻り、大騒ぎ。

 一番酷かったのが引き渡し直前でしたね。納屋の本当に使う物だけ*1をA社で預かってもらうために運び出していたら、それを見た夫祖母が怒り狂って大騒ぎ。まぁ怒り狂ってもね、口汚く罵るわけでもないから全然恐くないんだけどね。夫母曰く「鬼婆でしょ? 認知症で豹変したわけじゃなくて昔からあんな感じだったの」だそうですが、いや別になぁ……昔はどうか知らないけども、今は子犬がキャンキャン吠えてる感じにしか思えませんけどね。でもエンドレスなのはしんどいかもしれない。

 で、今回のターゲットは夫だったんですけども

 「誰が壊してもいいって言った」

「40年前に建てたばっかりなんだ、アンタも見たろ?」

「この納屋の柱はアンタのお父さんが持ってきたものだ」

「お父さんに恥ずかしくないのか!」

「こんなことになるならハンコ捺さなかった」

「この土地はじーちゃんと苦労して手に入れたものだ」

「ありがとうの一言もないのか!」

 といった内容を30分以上にわたりエンドレスリピート。屋外のトイレに来たのに、トイレも忘れて延々とギャンギャン騒ぐ夫祖母。しかし夫には特技「馬耳東風」があるので、あんまりダメージは与えられてないようでしたが。それでもいい気分はしないと思いますよ。だって事実と異なるのに責められ続けるんだから。40年前って、夫はこの世に生まれてすらいませんよ。あと夫祖母自身が「解体してもいい」と言ってるんですが、完全に忘却されてます。「ありがとうの一言も」とか言われてたけども、そりゃまあお礼は言っただろうよ。というかそんなありがたがる土地じゃないよ。坪単価、宅配ピザより安いんだよ。地盤悪いし。むしろハンコ捺してくれない方が夫実家のアレやコレを一切合切放棄して新天地に家を建てられたので、そっちのほうが安上がりだったと思うよ。それくらい、解体費用と地盤改良費が莫大に掛かるんだよ。とんだ貧乏くじだよ。なんて口が裂けても言いませんけどね。夫祖母ワールドではそんなもの通用しません。

 しかしA社の大工さんもいるのにギャンギャンと騒がれ続けても非常に困るし迷惑なので、ここは一つ私が遠方から鶴の一声。

 

「すみませーん!」

 

と、ぶった切ることに成功。ばーちゃんつられて「はーい!」って返事した隙に、夫逃走。やー、さすがに長すぎてイライラしてたからねー。いい加減にしろ! って何度怒鳴りたくなったか。介護って本当に大変だなと思った一幕、キレたら負け。

 でも夫祖母はキレ続け、連絡を受けて登場した夫伯母達にも毒づく始末。「ずっとここにいて見張る! デイサービスも行かね!」と納屋の前に陣取って動かない。「P子ちゃんは知らなかったの? この土地のこと」と流れ弾が飛んできて面倒臭い。「やー知りませんでしたねー。あ、忙しいのでー」とスルー。なんかブツブツ言ってたけど、知らん。

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 ……ということがあったんだけども、新居に移ってからは「忘却」のおかげでその時のことも忘れてしまい、割と穏やかに生活してたんですよね。ベッド騒動もあったんだけど、それはまた別の話。

 とにかく、割と穏やかに生活してるけども、時々「納屋は解体しないでくれ」と夫に言うので、実際に解体工事が始まったらどうなるんだろうかと皆で頭を抱えておりました。そして解体工事が始まりました。現場にいたP子母の証言から抜粋すると

  • 業者の人が分別作業していたら夫祖母が現場に直行
  • 怒ってるわけではないけども、あれこれ注文を付ける
  • 自家製ホウキやマムシ酒を「残す」と言い出す
  • 業者の人はA社から事情を聞いているので適当に流す
  • つまり全部処分してくれとは言われている
  • 夫祖母、それでも3時間以上現場に居座り話し続ける
  • 正直、邪魔

いやー迷惑掛けてます。じゃなくて、どうにかなりませんか。迷惑掛けるというのもあるけど、危ないんですよね。物がいっぱいで。デイサービスは「行かない!」と啖呵切ってたけど普通に行ってるからいいし、土日は夫母もいるからいいんだけども、問題は他の日だよね。というかほとんどだよね。夫母はイスさえ捨てれば居座らないと言うけども、そうかなぁ。どうかなぁ。裏口開けられないようにすればいいのかな。でもそれだと隣(こっち)に開け方を尋ねに来るし。だから廊下早く塞いでほしいのだけど。本当に解体作業をする時は物理的に引き離す(旅行にでも連れて行く)という話もあるんだけど、どうなるんだか。ああ、げっそり。

 

※2021年7月 加筆修正

*1:とはいえ夫実家ルールで必要な物なので、私や夫からしてみればいらない物も結構ある